第15回北海道雪崩講習会
第15回北海道雪崩講習会
2010年2月28日日曜日
(上の集合写真は北海道雪崩研究会よりいただきました)
我が家夫婦の趣味はテレマークで、バックカントリーでパウダーを滑ること。ニセコを知ってしまってからは、それまで最高!と思っていた八甲田の雪が激重に感じてしまいました。
そのニセコで昨年2009年2月3月と立て続けに雪崩事故が起こりました。場所はよく滑りに行くニトヌプリと、未だ眺めているだけの羊蹄山。そう言えば、2007年2月にも八甲田でもお世話になっていた酸ヶ湯温泉のガイドツアーで雪崩事故による死亡者が起きたし。
と言うことで、2009年11月からの第15回北海道雪崩講習会-基本クラスに参加することにしました。
2月27日-28日の二日間は、机上講習、レポート課題、中山峠でのプレ実習講習を経て、学習の成果を試される最後の実習講習です。内容は、
初日
積雪安定性評価
積雪断面観察
プローブによる人体接触感覚
ビーコンによる埋没者の探索訓練
プローブ探索
二日目
雪崩危険斜面でのルートの選択とパーティの行動
埋没体験
セルフレスキュー訓練
中級クラスのセルフレスキュー訓練見学学習
シャベルコンプレッションテストのための雪の切り出し中です。30cm x 30cm x 100cmの四角柱を掘り出しています。この作業にはスノーソーが必須ですね。
シャベルコンプレッションテストは切り出した四角柱の上にシャベルを置き、手首を支点に手の平で10回、肘を支点に握り拳で10回、肩を支点に握り拳で10回シャベルを叩き、四角柱のどこかに層が潰れたりずれたりしないかを確認します。 ずれは直ぐに分かりますが、層の潰れはスノーソーで綺麗な断面を作っておかないと見落とすことがあります。
肩からのケース
もう一つの円柱テストです。直径30cm x 100cmの円柱を掘り出し、手で引く剪断テストです。これも手首で引く、肘からの腕で引く、肩からの腕で引く、腰を入れて引く、とテストします。
積雪断面観察のためのピット堀り作業です。埋没者を救出するための搬出可能なピットを確保するためのシャベリングの練習を兼ね、最前列、第二列、第三列の体制で掘り出しています。
天気も良く、講習会日和でした。
まずは積雪内の温度勾配を確認します。外気温-4.7℃、雪面から10cmm毎に計ります。120cmmまでは温度が下がり続け、その下は上がり傾向でした。通常は表面近くが低温で地表に行くほど高温になり、地表面で0℃になるそうです。
刷毛で掃いてみると、一様に見えた積雪層内にも堅い部分と柔らかい部分があることが分かります。
つぼ足での踏み跡の下は洗面器をひっくり返したように踏み跡の影響が出ています。新雪の場合、最大1mの深さまで影響が出るそうです。その為、ピットテストでは1m堀り下げて積雪安定性を確認する必要があります。つまり、人間が入ることにより、1m下の弱層に刺激を与え雪崩が発生する可能性があると言うことです。
この断面を利用して、プローブによる人体接触感覚を経験しました。強く刺さないと当たった物が、人か、ザックか判断が付かないそうです。窒息させるより、怪我をさせても良いから力強く刺して感触から判断するように、と言われましたが。我が身だった場合は優しくして欲しい
なぁ。いくは、「ケガしても早く出してほしいと思います。。。。」と。
(この写真も北海道雪崩研究会よりいただきました)
この後は、ビーコンを持っていない埋没者の捜索です。一番埋没の可能性のあるデブリの末端から上方に向かい、足の幅40cm、一人一人の間隔を40cmにして一線に並びます。そしてリーダーの「右刺せ!」指示に合わせ、自分の右足先にプローブを刺します。「抜け!」の指示に従い引き抜き、「左刺せ!」で左足前に刺します。そして「進め!」で40cm。この繰り返しです。注意すべきことは、鉛直に刺すことと、常に横一直線になっていること。万一「これだ!」という感触があったら黙って手を挙げ後ろのシャベル隊に知らせます。これは時間がかかります。今回は8人で6m四方ほどの探索でしたが、10分近くかかりました。この範囲ビーコンなら1分以内です。
二日目の埋没体験です。たった30cm程でしたが、結構重いです。周りの雪がどんどん圧縮されて堅くなって来るのが分かります。実際1mも埋められたら怖いなぁ。その深さでも外からの声は結構聞こえるそうです。
中級クラスのセルフレスキュー訓練準備中です。ダミー人形を120cmに完全埋没させます。
こちらは生身の人間の完全埋没埋です。安全を考え、雪のブロックで空間を作ってあり、また、プロービングで怪我をしないよう、シャベルのブレードで要所要所をガードしています。
こちらは半身埋没。この後頭も埋められ、手袋のみ雪面に出ている様になります。
右手の林の向こうに探索メンバー8名が。想定は11名のツアー中、雪崩に遭遇し3名が流された。この後の訓練模様はダイジェストをビデオでアップします。
探索開始から、最後の埋没者救出まで約30分でした。見学者全員から拍手が沸き起こりました。
でも、これだけ上手いチームワークでやってもこれだけの時間が掛かります。
ビーコン探索や、プロービング、シャベリングはやっていると面白いのですが、実際に我々二人でツアー中に雪崩に遭遇したら、、、
雪崩に遭わないことを第一に考え、今後のバックカントリーを楽しもうと思いました。その為には、入山前の最低1週間の気象データ分析、行動中のアクティブテスト、ピットテストに拠る積雪安定性の判断、地形に気を配りルート選択を行う、等々、今回教わったことを二人でそれぞれがリーダーとして実践して行くことを徹底しなきゃ。
講習後、各パーティーの反省会、発表会の後、講師による修了認定が行われました。全員無事、修了証書をいただくことが出来ました。
我がパーティーの講師を務めていただいた、Yさん、Kさん、それぞれのご経験による数々の有益はお話は大変参考になりました。ありがとうございました!
そしてメンバーのYさん、Mさん、2日間と短い間ではありましたがコミュニケーションがとても良く取れ、楽しく過ごすことが出来ました。ありがとうございました!
3 件のコメント
お疲れ様でした。
内容の濃い2日間でしたね。
家に着いたら、くたくたで、倒れこむように寝てしまいました。(笑)
実際の現場では遭わないようにしましょうね。
あ、でも埋まってたら助けてくださいね~(笑)
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この投稿は2010年3月4日木曜日 - 11:49 AMに行われましたが、
管理人の不注意により、削除されてしまいましたので、back upより
手入力にて復旧させたものです。
2010年8月10日火曜日 - 01:25 PM
連投すいません。
ムービー見ました!
凄くわかりやすく編集されていて、ついつい見入ってしまいました。
同じクラスだった人にも案内しますね。
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この投稿は2010年3月4日木曜日 - 08:51 PMに行われましたが、
管理人の不注意により、削除されてしまいましたので、back upより
手入力にて復旧させたものです。
2010年8月10日火曜日 - 01:25 PM
うしじまさん、
連日の寝不足でご返事遅れまして申し訳ないです。
当日、私は小樽でダウン。いくに運転を代わって貰い、寝ながら帰ってきました。(^^)
講習会を受けて感じたのですが、同行するならただ3種の神器を持っている人ではだめで、
講習会受講者とでなきゃ行きたくなくなってきました。(^^ゞ
ムービーへのお褒めの言葉ありがとうございました!
でも、あれは主演者達が良かったからですよ!
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この投稿は2010年3月5日金曜日 - 01:06 PMに行われましたが、
管理人の不注意により、削除されてしまいましたので、back upより
手入力にて復旧させたものです。
2010年8月10日火曜日 - 01:26 PM